

白夜のもとで
Published on:
22 Jun 2016
ディヴ・ターナーがアラスカでの壮大な旅から文明社会に戻ってきました。彼の経験したことを伝えています:
「アラスカは一生ものの経験であったー話したいことが山ほどあります!!2日前、我々はアラスカ山脈の大部分を徒歩およびパラグライダーで飛ぶビバークフライトをして縦断し、キャントウエルにたどり着きました。我々のルートはおよそ450kmの距離でその64%を飛んでカバーしました。29日間の純粋の冒険でした。
我々はアラスカ山脈の南西の端、クラーク湖国立公園のちょうど境からスタートしました。そこから山脈の北側を目指し、悪天候の中歩くにはひどく荒々しい地形を進みました。そうだ、スレッド峠を腰までの深さの雪中を数マイルに渡って歩いたと言いましたっけ?2日掛けて6マイルを1日12時間も歩いたんですよ!?幸運なことにこの初めの数日間に、短いフライトを数本することが出来、我々のルートは達成できそうだと希望を持ちました。
我々が縦断した場所はこれまで誰もパラグライダーで飛んだことがなかったのでどんなコンディションが待ち受けているのか全く分かりませんでした。十分なサーマルはあるのか?天気が悪い時に歩ける地形か?あるいは森が鬱蒼とし過ぎているのか川は渡ることが出来ないほど広いのか?動物は我々を襲うのか?始めの数日間はたくさんの答えのない問いを抱えていました。そしてルートの4分の1を何とか進んだ時点でも、この冒険を達成できるか全く分かりませんでした。
ルートの始めの25%を何とか苦闘の末、山脈の北側にたどり着いたとき、速やかに前進できるとの甘い見通しと実際の遅いペースが痛ましくも明らかとなり、我々は殆ど餓死しそうでした。そこで食料を調達するべく釣り竿と銃を取り出しました。持ってきてよかった!
我々は山脈の北側ではコンディションがかなり良くなると期待していましたが、実際はそうではありませんでした。そうです。地形は少し歩きやすくはなりましたが天候は相変わらず味方してはくれませんでした。そこでまず良さそうな頂に急いで登り、4日間良い天候を待ちながらカロリーを温存しました。しかし良い天候は訪れず、すっかり腹を空かした野獣モードに切り替え、クロスアルプス流フライトのスイッチを入れましたー可能な限り速く何度も山脈の西面を駆け上がり、東面へショートフライトを繰り返す。300カロリーに制限したある日には合計で3000mハイクアップし4本フライトしました。最後の1本は夜中の12:30でした。この時点で12本以上のフライトをしていましたが、どれも28km以上ではありませんでした。餓死しないため、予め準備していた食料隠し場所にたどり着くには大変な努力をしなければなりませんでした。この冒険がこれほど困難で遅いものとは全く予想だにしていなかったので、毎回食料隠し場所にたどり着いた時には餓死寸前の状態でした。
しかしコンディションはゆっくりと好転し始め、2番目の食料隠し場所に勇壮ではあるが大宴会をするには小さすぎるトップランディングを果たしましたが、その後7日間の悪天候に見舞われてしまいました。そしてそこは罠でしたー2番目の食料隠し場所はデナリ国立公園と我々のルートの最も高い頂きの境で、国立公園内になるためテイクオフしたりランディングしたりするのは完全に法律違反であったのです。したがって我々の戦略は天気の悪いときは待機し、運よくランディングせずに国立公園をすっかり飛び越せそうな適切な瞬間を待つことでした。
4日間、高高度のキャンプで待機し、再び食料が不足してきたとき、数分間あらしが止んだ瞬間に飛び出し2つサーマルを捕まえて、平野部に数マイル飛んで日暮れに食料供給を長らえるべくカワヒメマス をひもに吊るして持ち帰りました。
幸いにも7日間にわたり良い天気を待ち続けた後、ついにそれらしい日が訪れました。
ハート山頂でのウエイティング8日目、早朝から陽光が降り注ぎ始めました。急いで崖を登り、ビッグフライトに向けて準備をしました。そうしなければならなかったのです。我々はまたしても食料が不足し、私は1週間後には帰宅しなければならず時間も足りなくなってきました。
登っている間は期待を持たせるような空でしたが、機体を広げてハーネスをつけた頃にはすっかりダメそうなものに変わっていました。雲が発達して周りは雪や雨が降っていました。しかし我々の望む方角に雨が降っておらず黒い雲の細いラインを見つけました。私はすぐさま飛び出し、ギャヴィンも続きました。
我々は2度もブッ飛びそうになりました。しかし2度とも切れ切れのリフトに当たり雲低迄上昇し、制御できる前に雲底を超えて氷の中に突入しグライダーが湿ってしまいました。正にぶっ飛び状態から極端な雲の吸い上げに変化したのです。しかし蜜アナグマのように全く気にはしませんでした。我々は十分歩きました。我々は国立公園の上空にいます。そうせざるを得なかったので、そうした迄です。風は安全に飛ぶには強すぎましたが、そんなことは気にしていられませんでした。我々は飛ぶためにやってきたので歩くためではなかったのです。
そのフライトでデナリ、フォーレイカー、ハンターそしてアラスカ山脈の最高峰を飛び越しました。徒歩で横断するのはほぼ不可能な数えきれないほどの氷河と荒れ狂う河を飛び越しました。我々は速く進んでいましたが50マイルほど飛んだところの雲底でお互いの連絡が途絶えてしまい、前方には荒れ狂う雨と雪の壁が立ちはだかり、雲に覆われてしまいました。雲により遮られ公園内にランディングせざるを得なくなりました。くそ。
その後の数日はあっという間に壮大な景色、勇壮な山々そして峠が過ぎ去っていきました。アンダーソン峠に向かって広大なマルドロウ氷河を横断し、ついにキャントウエルに到達しました。
この時点で我々は予想していたルートの3分の2を達成していましたが残念ながら私の時間は終了し実生活に戻らなければならず、そこが私の出口となってしまいました。しかしギャヴィンは挑戦してやり遂げるだけの無限の時間があるので彼はまだそこにとどまりやり遂げようとしています。
私はここアラスカに冒険を求めてやってき、最終的に正に私が望んでいたもの以上のものを発見することが出来ました。この地は正に壮大でその上、突拍子もないフライト、危険な動物、荒れ狂う河、人を飲み込む氷河、そして困難な天候ーそう、この5週間にわたるアラスカを堪能しましたね。」